お釈迦様の教えをまとめた「経本」。家族を亡くした方にとっては、心の拠り所となるものですが、何らかの理由で不要になることもあります。
しかし仏様に関連したものは、どのように処分すべきか分かりません。通常のごみとして安易に捨てて良いのか、悩んでしまう方も少なくないでしょう。そこで本章では、経本の適切な処分方法について解説します。
そもそも経本とは
お釈迦さまの「教え」であるお経をその弟子たちが受け継ぎ、のちに「本」としてまとめられてものが経本です。お釈迦様の教えのことを「経文」と呼び、その経文を読み上げることこそが「お経を読むこと(読経)」です。
お釈迦様が説いた経文の内容は、宗派ごとに異なります。というのも宗派によって、開祖が異なるため、その教えもまた異なるためです。
「経文」といってもその種類はさまざまであり、宗派ごとに作法や習わしにも違いがあります。経文として代表的なものは「般若心経」です。これは法相宗や天台宗、真言宗で用いられる経文であり、多くのお寺で使用されています。
経本(文)の役割
経本は、お釈迦様の教えが書かれたものです。しかし経本とは、ただお釈迦様の教えを理解するためだけにあるのでなく、人々の心に寄り添い、その支えとなるためにあります。
では経本には、具体的にどのような役割があるのでしょうか。本章では経本があることの意味として、「人々の心の拠り所」と「遺族の心を落ち着かせるもの」という2つの役割を解説します。
人々の心の拠り所
経本の役割としてまず挙げられるのは、「人々の心の拠り所」となっていることです。読み上げられたお経を聞いても、その意味をよく理解できない方も多いかもしれません。しかしお経本来の意味はとてもシンプルです。「生きている人が幸せに暮らせるように」という想いが詰まっています。
経本が最初に作られた頃と、現代とでは人々の生活は大きく異なっています。昔の人と現代の人では、それぞれが抱える悩みは大きく変わっています。しかし人々が幸せに暮らしたいという願いは、いつの時代も変わりません。
どの時代を生きる人であっても等しく幸せになれるようにという願いが込められた経本は、昔も今も人々の心の拠り所となっているのです。
家族を亡くした遺族の動揺を静めて心を落ち着かせる
現代において経本が使われる(お経が読まれる)場面といえば「お葬式」でしょう。当然ながら、お葬式で集まっている人々は遺族や親戚が亡くなり、悲しみに暮れています。葬儀におけるお経とは、故人を供養する気持ちを伝えるのはもちろんのこと、悲しむ遺族の心に寄り添うものです。
家族を亡くした人々の心を落ち着かせ、気持ちに余裕を与えてくれます。また、故人から参列者へ向けた励ましの言葉を代弁するものです。故人の声なき声を伝えてくれる経本は、いつの時代も遺族の動揺を静め、心を落ち着けてくれます。
経本は処分しても大丈夫?主な3つの処分方法
経本が人々の心の拠り所となっていることは、ここまでの内容でお分かりいただけたでしょう。ではそれらを処分するためには、どうすれば良いのでしょうか。
本章では、経本を処分する方法として「お坊さんに引き取ってもらう」「自分で廃棄する」「供養をしたのちに焚き上げをする」の3つを紹介します。経本の処分に困っている方は、参考にしてください。
1.お坊さんに引き取ってもらう
あなたが檀家であるならば、お坊さん(菩提寺)に引き取ってもらえます。処分方法としては、手軽で安心な方法です。
経本に限らず、仏具の処分については、菩提寺のお坊さんに相談するとよいでしょう。年忌法要や月参りのタイミングで相談するのがおすすめです。
お坊さんに預けた経本は、供養した後にお焚き上げがおこなわれます。経本などをお坊さんに預ける場合には、「お布施」が必要になる点に注意しましょう。
2.自分で廃棄処分する
経本に対してあまり重要視していない場合は、自分で経本を処分する方法もあります。経本に限らず仏具は、一般的に自分で廃棄処分できるのです。たとえば「両親や親族は仏教徒だが、自分は違う」という場合には、自分で廃棄処分しても良いでしょう。
自治体のゴミ回収に出すのはもちろんのこと、自ら焼却処分をする方法もあります。もちろん自治体のごみ回収に出す場合は、お住まいの市町村のルールに従いましょう。また経本とであることが分からないようにするなど、回収スタッフへの配慮をプラスしてください。焼却処分をする場合も、ルールを守ることが必要です。
3.供養後に焚き上げをする
「お坊さんに引き取ってもらう」と「自分で廃棄処分をする」といった2つの方法をミックスしたものが、「供養後に焚き上げをする」方法です。
具体的には、菩提寺のお坊さんに依頼して経本の閉眼供養をおこないます。供養してもらった経本はその後、自分でお焚き上げをします。檀家ではない場合でも「お坊さん手配・紹介サイト」などで探すことが可能です。
他にも「ご供養仕舞い専門業者」を利用するという方法もあります。依頼すれば供養からお焚きあげまで、まとめておこなってもらえます。
仏具の処分は、何かと迷うことが多いものです。そんなときは、以下の記事も参考にしてください。
仏具を処分する4つの方法を紹介!処分に関する概要や注意点も解説
経本の処分をする場面とは
経本を処分するというのは、どのような場面なのでしょうか。経本を処分する場面は、そう多くはありません。しかし仏壇などの面倒が見られなくなった場合や引っ越しをする場合は、経本も一緒に処分しなければなりません。
本章では経本を処分するタイミングについて、上記の2つを解説していきます。経本を処分するか迷っている方は参考にしてください。
仏壇や位牌の面倒が見られなくなった時
通常経本は、仏壇の引き出しなどに保管されています。そのため一般的に経本単体で処分するというケースは珍しく、その他の仏具と一緒に処分するケースがほとんどです。
そのため経本を処分するタイミングもまた、仏壇や位牌の面倒が見られなくなった場合が多いでしょう。何らかの理由により仏壇などを処分する際に、経本もまとめて処分することが多いようです。
引っ越しをする時
経本を処分するタイミングには、引っ越し・結婚・離婚など生活が大きく変わる時期が挙げられます。住まいが変わり仏壇や遺影を処分する際に、経本も処分するのが一般的です。
近年では洋式建築が主流になっているため、自宅に仏間を作らないケースも増えており、経本を置かない家も増加傾向しています。このような場合には、経本を処分することも珍しくはないでしょう。
経本の買取はできる?
寺院様の経本であれば買取りが可能です。浄土真宗や真言宗、浄土宗宗派、臨済宗、天台宗など、さまざまな宗派の経本を扱っています。どの宗派でも買取可能であるため、お問い合わせして下さい。
「永寿堂」では法衣や袈裟をはじめとした、数多くの仏具の買取をおこなっています。寺院様所蔵の経本も取り扱っていますので、処分に困っている方はぜひ気軽にお問い合わせてください。
【永寿堂のお問い合わせ】
・TEL.0120-060-510
・メール:info@eijyudou.com
・LINE ID:@721crjcp
まとめ
この記事では、経本の処分方法について解説しました。経本の処分方法は「お坊さんに引き取ってもらう」「自分で廃棄処分する」「供養後に焚き上げをする」という3つの処分方法があります。ほかに、買取業者に依頼するという方法も紹介しました。
経本などの仏具の処分では、取り扱いに悩んでしまうこともあるでしょう。仏具には、それぞれ適した処分方法があります。経本をはじめとした仏具の処分に困っている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。