念珠と数珠の違いは「呼び方」にあり、いずれも念仏の回数を数える仏具として同じ意味をもっています。ただし、念を込めるという意味を強く表現する際に念珠と呼ぶことがあるのです。本記事では、念珠と数珠の違いだけではなく、種類や基礎知識についても詳しく解説します。
念珠と数珠の違いとは?
結論から述べると、念珠と数珠に大きな違いはありません。しかし、単に念仏の数を数える仏具という意味合いを持つ数珠に対し、念珠には所説あるものの、異なる意味合いを持つ仏具とされています。
また、宗派によっても正式名称がそれぞれ異なるのです。同じ仏具でありながら、なぜ呼び方が変化するのかを理解するためにも、それぞれの詳しい内容について見ていきましょう。
念珠は数珠の別名
前述のとおり、念珠は数珠の別名です。念仏を唱える際に数珠の珠をはじいていたことから、念珠という別称がつけられたといわれています。
また所説あるものの、念珠は祈りを捧げるときに念を込めるという意味合いが強いとされ、数珠ではなくあえて念珠と呼んでいる場合もあるのです。宗派によって名称が異なるのは、こういった解釈の違いも理由としてあるのかもしれません。
数珠とは「念仏などの回数を数えるための道具」
数珠とは「念仏などの回数を数えるための道具」のことです。念仏を唱えるごとに数珠の珠を増やしていくことで、記憶しなくても唱えた回数を把握できます。
元来数珠は、仏教の発祥地であるインドで使用されていました。仏教が世界各地に広がると数珠も一緒に伝わり、日本には飛鳥時代に伝来したとされています。
伝来した当初、使用できる人はお坊さんや貴族などに限られていました。しかし、鎌倉時代に浄土真宗など念仏を唱えることで救われるという教えが広まると同時に、数珠も一般人に広く浸透したのです。
念珠(数珠)の種類は2つ
念珠(数珠)の種類としては、次の2つが挙げられます。
- 本式数珠
- 略式数珠
念珠の種類によって特徴が異なります。また、使用すべき種類が宗派ごとに決まっている場合も少なくありません。
そのため、特徴を知らないままに使用していると不作法にあたり、恥をかいてしまう可能性があります。念珠選びで失敗しないためにも、種類ごとの詳しい内容について見ていきましょう。
1.本式数珠
本式数珠とは、宗派ごとに定められた形の数珠のことです。宗派ごとに仕立てが異なり、「正式数珠」とも呼ばれます。
108個の球で形成され、そのうちの親玉と呼ばれる大きな珠が1つと天王という少し小さめの珠が4つある数珠です。格式の高い数珠ともいわれ、自分の宗派に合わせた本式数珠を1つ持っておくと安心でしょう。
2.略式数珠
略式数珠とは、お釈迦様が愛用していた菩提樹の数珠を6人の高弟で分け与えたのがはじまりとされ、「片手念珠」とも呼ばれます。男性用と女性用で分かれているだけではなく、つけ方や形なども種類によってさまざまです。
どの宗派でも利用できることから、近年は略式数珠の利用が増えています。身内などの思想を確認したうえで、特にこだわりがなければ略式数珠を選んでも問題はありません。
念珠や数珠も含まれる仏具の種類や意味については、以下の記事で詳しく解説しています。
仏具の種類を解説!おりんや花立、香炉など高額買取のポイントも紹介
念珠(数珠)に関する6つの基礎知識
先述した本式数珠や略式数珠の基礎知識としては、次の6つが挙げられます。
- 素材
- 玉数
- 房
- 色
- 価格
- 修理やメンテナンス
いずれも、念珠の基本として理解しておきたい知識ばかりです。これらの基礎知識は、念珠を選ぶ際にも活かせます。意外にも間違いやすい念珠選びで失敗しないためにも、ここではそれぞれの詳しい内容について見ていきましょう。
1.素材
念珠の素材は真珠や天然石、木の実、ガラス、プラスチックなどさまざまです。なかでも水晶は千億倍の福、菩提樹の実は数えられない福を得られると記載している経典もあり、素材によって持つ効力は異なります。
また、素材によって価格も大きく異なるでしょう。ただし、念珠の役割に違いはないため無理に高価なものを選ぶ必要はなく、念珠を持つ目的にあわせて素材を選んでも問題はありません。
例えば、軽さを重視するのであれば木製の念珠、お守りとしての意味や美しさを重視するのであれば天然石の念珠といった選び方もあります。
2.玉数
念珠の玉数は、108玉とするのが基本です。108とは除夜の鐘を108回撞くのと同じく、人間の欲望や執着、煩悩の量を表したものであり、108の仏菩薩の姿であるともいわれています。
煩悩の中に清らかな仏性が潜むともされ、念珠を持って念仏を唱え、息を吹きかけることで信仰が磨き上げられるとされているのです。そのため、本式数珠はこれら108個あるとされる人間の欲などの意味を込め、108粒の玉数として仕上げています。
3.房
代表的な房の種類は、次の3つです。
- 頭付房:念珠をはじめて持つ方におすすめの一般的な房
- 梵天房:房で困っている方におすすめとされ、くしゃくしゃにならない
- 紐房:浄土真宗で使われ、男性用の本式数珠として適当な形状。浄土真宗ではない方でも、好みであれば使用可能
房にはさまざまな形状があり、頭付松風房やかがり房などもあります。
4.色
念珠に色の決まりはなく、派手であるからといって不作法に当たるものではありません。念珠は使用者の念が込められた分身であり、持つ方の好きな色や気になる色を選ぶとよいでしょう。
ただし、地域によっては色に決まりがあるケースもあります。そのため、購入前には色の決まりがあるのかどうか、両親や親族に聞いておくのがおすすめです。
5.価格
念珠の価格は「約1万〜3万円」が相場ですが、「10万円以上」もするような高級念珠も存在します。価格は利用されている素材の希少性によって変わり、予算の許す範囲で気に入った念珠を選ぶと良いでしょう。
ただし、高価なものを選んでも念珠の役割は変わりません。そのため、無理に高価なものを選ぶ必要はないでしょう。
6.修理やメンテナンス
丁寧に使用していても、念珠の中糸や房を中心に経年劣化は進みます。念珠の糸が切れた場合、縁起が悪いと感じる方も多いでしょう。
しかし、実際には糸が切れたことで縁起が悪くなるものではなく、修理やメンテナンスで房の部分を変更して違った雰囲気を楽しむ方もいるほどです。愛着のある念珠の糸が切れたり、房に劣化が見られたりする場合は、しっかりと修理やメンテナンスを行って長く使用してください。
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まとめ
数珠は「念仏などの回数を数えるための仏具」であり、念珠は数珠の別名であることから両者に大きな違いはありません。
念珠には宗派ごとに定められている「本式数珠」と、どの宗派でも利用できる「略式数珠」の2種類があり、近年では決まりのない略式数珠の利用が増えています。念珠は使用されている素材によって価格が変化し、希少性の高い素材を使用している念珠であれば高値での買い取りも期待できるでしょう。
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